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■ カフェで学び 夢をつかむ 吉田憲二


吉田憲二さん@


吉田憲二(よしだけんじ)さん
 大阪市立大学
  生活科学部4回生

 今回のインタビューは就職活動を終えたばかりの吉田さんに就活体験を話してもらいます。最初に吉田さんの専門と就職して就く会社・仕事について簡単に教えてもらいたいと思います。それ以降の質問は、三つの時期に区切ってしていきます。まず就活の準備段階である三年の夏まで、次に就活が本格化する秋以降。最後に、就活が終わったこれからのことについてお答えいただきたいと思います。


−−−では、学部での専攻について教えてください。

 生活科学部居住環境学科に所属しています。学んでいるのは、住宅環境の問題を改善する方法です。例えば、障害者やご老人の方々の住宅環境を良くするための設計・建築について勉強しています。私自身はインテリアの勉強がしたくてこの学科を選びましたが、大学に入ってみると建築図面を描く機会も多かったですね。


−−−建築というと理系のイメージがありますが、そうなんですか?

 理系とははっきり言い切れないんですよ。二次入試の科目が二科目なので文系でも入れますし、院に行く方は2割ほどで少ないですしね。
 ちなみに、就活ではうまく使い分けることは大事ですよ。就活で文理を問われると、その状況に応じて答えてきました。「どちらでもいけます」とも言えます。悪い意味で言うとよくわからない学科なんですけどね(笑)


−−−なるほど、世渡り上手ですね(笑)周りはどのような会社に就職されるんですか?

 周りは住宅メーカーの技術職、営業職が多いです。学んだことが直接活かせますからね。


−−−吉田さんは、その会社でどんな仕事をするんですか?

 その会社で僕は建築・設計・プランニングができるような部署につく予定です。具体的には、ホテルの建築設計・開発がメインになります。ただ、ホテル経営までしているのが面白そうだと思い、この企業を選びました。『学んでいないことも勉強したい!』と思っていましたので。不動産事業についても知識を得ようと考えています。


吉田憲二さんA

−−−様々な知識を得ようとしていらっしゃるんですね。
今までの話で、吉田さんがやってきた事、これからしたいことをおおまかに理解できました。ではこれからの話は、就活の準備段階である三年の夏までに移していきましょう。就職活動を意識したのはいつからですか?

 就職を漠然と考えたのは三回生の春。「卒業して何をしようか?」を考えたんですが、就活まで期間が開いていたこともあって意見交換を出来るような相手がいなくて悩んでいました。悩んだ末、インターンをすることで自分のやりたいことを見定めようと決意しました。インターンの内容は、新規オープン店の内装の考案です。飲食店を経営展開するベンチャー企業が応募していました。


−−−インターンの活動内容を詳しく教えてもらえますか?

 5月中旬から3ヶ月間、そのお店には携わりました。メインは鉄板焼きのお店で昼間はカフェダイニング、夜はお酒も提供するバーとして営業していて、内装の手作り感が心地よいものだったと思います。店の施工、内装の考案・実行、オープンまでの手伝いなど幅広く活動していましたね。
 店の施工とは、設計図に基づき、建築物を作り上げることを言います。例えば、コンクリこねて、ブロック組んで・・・。やってて、「あれっ。こんなことまでするんか〜」ってその時は思ってました(笑)今考えてみると、会社としては単純に人件費を浮かせたかったっていうのもあったんだなって思います。やる前から文句言うのは嫌やったんでひたすらやっていました。
 内装の考案とは、店舗屋内のデザインを考えたことです。具体的には、店のコンセプトを決定した上で、壁の装飾物の雰囲気作りや家具の作製・レイアウトを考案しました。コンセプトを決定するには『どうやったら店が売れるのか?』という案を出し合い決定しました。ただ、コンセプトは上の立場の人がほとんど決めてしまうので深く関わることはできませんでした。一件の店を出すのに費用が一千万以上かかるんですから、それは仕方ないですけどね。
 内装の実行は考えたデザイン通りに、考案したデザイン案を形作ることに加え、設備の取り付けなども行いました。簡単な換気設備や窓の取り付けといった、普通では経験できないことまで行いましたね。オープンまでの手伝いは荷物を運んだり、広告看板を作ったり、ビラを配ったりしました。
 あと、インターンとは別ですが、カフェ専門店で店の運営も任されました。店主として、ですね。それも10月末まで、約3ヶ月携わりました。ですから夏休みはほとんどカフェでつぶれてしまいましたね。


−−−建築のプロセスは全て経験したんですね!居住環境について勉強している吉田さんにとっては、とてもいい経験ですよね。資金力がない学生にとっては、インターンという形でないとなかなか経験できませんし。何が一番印象的でしたか?

 カフェの運営が一番印象に残りました。同時に、精神的にも肉体的にもとてもハードな日々を過ごしました。学校の授業のほかにも、お店の運営や売上増加のことを考えなければならなかったですし。ただ、カフェの運営は、当時店舗デザインをやりたかった僕にとって「お店って何のか?」を考えるほんといい機会でした。僕が運営していた店は、本町の、ある通りの一角にありました。ビジネス街で、すごくたくさんのお客さんが来てくれました。ですので、お客さんと接していて感じることも多かったですね。


−−−お客さんと接していてどのようなことを感じましたか?

 例えば、あるサラリーマンの方が毎朝来てくれ、「今日もここのコーヒー飲んで行ってくるわ!」って言ってくれました。その時は、この人の生活の一部になれたんだなぁって感じましたね。
 また、お店が一つのコミュニティの中心になっていると感じました。仕事仲間が話し合うための場所になっていたり、常連さんが別のお客さんを連れてきてくれたり。店長という立場に立つことで、自分の空間に様々なグループが集まってくる感覚を感じるようになりました。


−−−コミュニティの中心になっているという感覚はアルバイトでは味わえない感覚ですね。カフェを運営したことで、自分のしたい仕事が見つかったんですか?

 はい、見つかりました。カフェを運営するという経験から、『人を満足させる空間のプランニングがしたい!さらにその経営にまで関わりたい!』って思うようになりました。こう思うようになった理由は、お店がお客様に与える影響力の強さを身に染みて感じたからですね。インターンをしなければわからなかったことでした。


−−−なるほどね。じゃあ自分で店を建てて個人経営してやっていかない理由は何ですか?

 若いころから一つのプロジェクトを取りまとめてやってみたいとは思っています。ですが今は、別に自己資本じゃなくて会社の資本でいいと考えています。このインターンには、関西の学生が2,30人参加していました。その中には『自分の利益のために独立したい!』と思っている方々が、少なからずいました。ですが、僕は独立してやるなら『社会のためにやろう!』という気持ちもないと続かない気がします。社会に対しての影響力も強いですし、常に会社の進む方向を熟考しないといけない。そこまでの想いと手腕があるかって言われると、現時点ではないんですよね。まだまだ世の中のことも分からないことだらけで、もっと多くの学びが必要だと思います。事業を続けていくためには、お客さんへのサービスだけ考えても無理だと思いますし。
 単純に、今はプロジェクトを取りまとめる仕事がやりたいので、無理に独立しようとまで考えていません。自己資本もないですしね。


−−−考えておられることがよくわかりました。現時点で独立を考えていなくても、『人々を満足させる空間を創る仕事がしたい!』という思いは強いんですね。
やりたいことがはっきりしている吉田さんなら、うまく就活を乗り切れたように思いますが、どうでしょうか?これからは説明会が始まり就活モードに入る秋以降に話を移していきます。

吉田憲二さんB
−−−会社を受けようとする中で、どのような会社を受けるのか選ばなければなりません。吉田さんが考えた仕事を選ぶ基準について教えてください。

 僕の仕事を選ぶ基準は二つあります。先ほど述べた『人々を満足させる空間を創る仕事がしたい』という志望を基準として細かく置き換えたものです。
 一つ目は『人を巻き込むことができる』というもの。インターンでの経験から、自分が何かを発信することで人を集め、その人たちを楽しませたいと感じるようになりました。
 二つ目は『建築の知識を活かすことができる』というもの。自分が発信できる知識は、大学で学んだ建築の知識です。建築の知識を使って、実際に空間を創ってみたいと思いました。


−−−では、実際に受けてみようと思ったのはどういう業界ですか?

 これらの基準から、経営コンサル、人材、空間デザインの会社、ゼネコン、不動産デベロッパーなどに興味を持ちました。その中でも一番興味を持ったのは、不動産デベロッパーですね。最初に申し上げたように、不動産デベロッパーは土地の仕入れから商業施設の設計プランニングまで幅広くできます。だから、『人々を満足させる空間を創る』というイメージに近く、働き方としても多くの人々との折衝をまとめなければならない仕事であるので自分にとって最適であると思いました。


−−−実際に選考を受けてみて、どう感じました?

 選考が思うようにいかず、つらかったですね。最初は自信があったんです。インターンも本気で取り組み自分のやりたいことを見つけようとしましたから。ですが、一次選考も落ちるところもありました。


−−−努力していた吉田さんでも苦労したんですね。なぜうまくいかなかったのでしょうか?

 僕が長期的に考えて行動していなかったからだと思います。
 就活中に東京まで選考に行くことがありました。3対3のグループ面接をしたんです。
 そこで僕が感じたことは、『自分が大きいことを思っている割に、今までの活動が比例していない』ということです。グループ面接って、話している内容の濃さとか論理的かどうかで受かるかどうかがわかるんですよね。そのとき一緒だった東京の学生は、「海外の発展途上国での半年間における街づくりの体験が最も充実した経験です。長期でプランを立て、実際に街づくりの実現に携わることができました」って言っていました。話を聞いていて、ただ頭が良いだけではなく、『なぜ不動産デベロッパーの仕事につきたいのか』が明確で説得力を伴っているんです。ただ「やってみたい!」と言っている僕とは、内容の厚さが桁違いでした。僕はこの就活でやりたいことを見つけたって言っても、それに対する努力をする期間が無かったんです。だから、早くから自分の夢を見つけて、長期的にプランを立てて夢を実現しようと努力している方には勝てないな、そう感じました。『もう後には戻れない』、その焦りはありましたね。


−−−行動していないことに対して、自信を持てない。それは不安になりますね。
でも最後には内定を取ることができたんですよね。それは自分のどういったところが評価されたからだと思いますか?

 質問に対して素直に明確に答えたことですかね。面接をこなすにつれて、自分の考えをはっきり述べられるようになりました。質問に対してまず結論を述べ次に理由を言う、という基本的なことでしたが、話し方に気をつけましたね。飾らず、自然体で臨むことが出来たのがよかったのかなと思います。


−−−自信を持って自分を表現できたからこそ、ですよね。それでは就活で最後の話です。吉田さんが就活を経験して学んだことを教えてください。

 自信と周囲に対する謙虚さのバランスが大事であることを学びました。
 1、2回の時はサークルに打ち込んでいて、楽しい日々が続いていました。だけど、いざ3回になって、『このまま卒業していいのかな、今の自分がやりたいことはこれじゃないのでは』と思うようになったんです。集団に属すことや、周りの意見に付いていくこと、それを自分が楽しいと思い込むようにしていた気がします。もっと様々な経験がしたい、いろいろな世界を知っておきたいと漠然と考えていました。それからはインターンに熱中し、そのなかでさらにやりたいことが見つかったっていったんですよね。建築や語学の勉強、他には同年代以外の人と会話する機会を多く持とうとしていましたね。向上心をもって行動することで、本当に自分がやりたいことをしているという実感が持てました。やりたいことをやっているからこそ、自分の行動に自信を持てましたね。


−−−自信を持てたのは大きいですね。一方、周囲に対して謙虚になるべきだと感じたのはどういう時ですか?

 インターンをしていた当時、僕はそれしか考えられないほど、必死でやっていました。同時に学校に行くことが減ってきたんですよね。今思うと本末転倒な話なのですが、授業の遅刻早退もかなり多かったです。その時は、正直単位さえ取れたらいいっていう勝手な考えでした。でも、確実に教授や同じ授業の友人には迷惑をかけていたと思います。周りが見えていないせいで、両立がうまく行かず周囲の環境ともうまく折り合わない時期もありました。そしてさらに大学を軽視してしまって。この時大学の友人から受けた言葉が大きかったですね。「自分のやりたいことだけをやるのは自分勝手や。今やるべきことは授業に出ることや。まずは今やるべきことをやらなあかんで!」と言われ、ハッと気付かされました。
 要はバランスが大事なんだなぁと思います。遊びも勉強も、暇な時間も忙しい時間も全部大事ですし。自分とは異なる相手の考え方を認める大事さを、この頃に強く感じましたね。


吉田憲二さんC

−−−なるほど、やりたいこととやるべきこと、両方に手を抜かずやることの大切さを知ったんですね。
ではこれからの目標について質問していきます。学生時代の目標と社会人になってからの目標についてそれぞれよろしくお願いします。ではまず、後半年と残り少なくなった学生時代での目標は何ですか?

 学生時代での目標は二つあります。
 一つ目は、語学力をつけることです。内定先の会社でも義務付けられていますし。そのために英語の勉強をしたいと考えています。インターンをやっていたときの先輩が留学していた人で、その人のつながりでお客さんが来てくれ、たくさんの留学生と交流することができました。
 彼らと話していて、『留学生ってすごいポジティブに話すんだな!』って感じたんです。その一方で、新たな知識を貪欲に得ようとしているんですよ、街中でも電子辞書を取り出して調べ出すんです。そういう外国人の明るくて勤勉なところに感銘を受けました。
 留学生のような外国人と話すためには英語が必要になるので、これから身につけていきたいですね。語学力をつけてたくさんの外国人と交流し、お互いに刺激し合っていきたい。時間のある今なら勉強できますしね。


−−−確かに語学を学ぶことは視野を大きく広げる点で、非常に大切なことですね。二つ目は何ですか?

 三回生に自分を見つめなおす場を提供することです。
 私はキャリアインキュベーションという団体が主催する就活セミナーの運営に携わっています。長期的に学生の就職活動を支援していこうという団体で、昨年から名古屋・東京・大阪で就職セミナーを開催しています。そのセミナーで私は4回生の代表をしています。


−−−キャリアインキュベーションってどういった団体なんですか?

 この団体は、船井総合研究所に勤めて企業の採用支援をされている方が作りました。その方は企業の採用方法に違和感を持っています。例えば、現在の3年後離職率って、3割を超えてるんです。その原因は、新卒で就職しようとする学生が企業の実体像を捉えきれていないからです。何百人以上も学生が来る企業説明会では、企業のいいところを見せるだけの採用になってしまいますよね。仕事の全体像が見えません。学生は何もわからないままに自分で答えを出している。この現状を変えるためにはどうしたらいいか?三回生が就職に関して真剣に話せる場があれば、企業とのミスマッチを解消できると考えています。


−−−なぜ企業とのミスマッチを防げるんですか?

 学生は立場の違う人と話すことで、自分を見つめ直すことができます。そうすることで企業を見る目を養えるからです。
 インキュベーションのセミナーを運営しているのは、学生が中心なんです。船井総研は学生に社会人を紹介して話す機会をつくって下さる予定です。
 一回のセミナーにいる学生スタッフは、通常4,5人。それに対して三回生は20人くらい。ですので一人ひとりの学生と向き合うことができます。三回生には自分が何をしてきたかを見つめ直し、自分が何をしていきたいかを話してもらいます。「自分はこうしたい!」と声に出すことで、自分を理解することってとても多いと思うんですよね。
 このような対話を一年間という長期間で続けていきます。三回生は、自分のしたいことを模索し自分の軸を見つけることで、企業を見る目が次第に養われてくるはずです。


−−−なるほどね!確かに対話する場は大切です。特に市大生はあまりそういう機会に恵まれていませんよね。吉田さんはどういう思いで活動しているんですか?

 僕自身も、三回生に実体験を語って自分を表現することで、自分を見つめ直す機会になっています。「自分にも去年からこれがあったらどれほど良かったか!」って思います(笑)就活について真剣に話せる場って少なかったですから。だから、『就活を真剣にしたい!』って思っている人にイベントに参加して欲しいです。自分の将来について模索している人ですよね。そういう人に、僕は去年自分が欲しかった場を提供したいですね。


−−−みんな少なからずオレンジデイズしていますもんね(笑)正解はないからこそ、悩み話し合う相手が必要だと・・・。本当におっしゃる通りです。
では社会人での目標は何ですか?

 5年目までに一つのプロジェクトを動かせるようになることです。
 小さい商業施設を作る場合であれば、自分で土地を仕入れてコンセプトを考案しデザインまで考える、という一連の作業を執り仕切りたいです。
 商業施設を作る場合、どこに出すのか、誰を集客するか、などマーケティングして決めていかなければなりません。例えば地方に施設を出すんであれば、現在は団塊の世代がどんどん退職しだしているので、富裕な高齢者をターゲットにして高級なホテルやリゾートを作る案を出します。次に、その人たちがどんな施設を求めているのかを考えます。富裕な高齢者の中には勉学したいっていう方々もたくさんおられるので、隣接してスクールを開設するなどですね。さらに、個々の店の細部まで決めていかないといけない。建物の家具、配置、配色などです。
 もちろん、こんなにも多くのことを自分ひとりで作ることはできないので、いろんな人に協力してもらわなければなりません。僕がなりたいのは、そういう各部門を取り仕切るマネージャーです。実際にお客を満足させる空間を創り上げたいです。


−−−最後に、これから就活を迎える学生にアドバイスをお願いします。

 本当に自分がしたいことをしてください。旅行でもサークルでもバイトでもいいと思います。やりたいからやっている、という考えを持つことが大事だと思います。
 あとは将来何をしたいか、どういう人間になりたいかを一度考えてみてほしいですね。その結果周りより早めに就活したいって思えたなら、良い就活になると思います。その時は是非、キャリアインキュベーションに来てくださいね(笑)


−−−わかりました。夢を実現させるためにがんばってください。応援しております。インタビューに答えていただき、ありがとうございました。

文責:ユータロー